INDEX
トルマリンを理解するうえで基本となるポイント
トルマリンの商品はこちら色や種類が多いトルマリンについて正しく理解するには、最低限の知識として以下のような特徴を押さえることをおすすめします。
- トルマリンという名称は特定の宝石を指す訳ではない
- トルマリンはあくまでもグループの総称
- 色によって名称が変わる
- 世界各地で産出するため種類が多い
- 宝石として扱われるのは2種類(エルバイトとリディコータイト)
- 鉱物名と流通名が混在している
- 主要なものは5種類
トルマリンの主要5種
トルマリンの色や種類を理解するうえで、最も基本となるトルマリン5種類を知っておくようにしましょう。 トルマリンは以下5つに大きく分けられます。この5種類を理解することで、複数に枝分かれするトルマリンの色や種類、そしてグループの区分が分かるようになります。- エルバイト
- リディコータイト
- ドラバイト
- ウバイト
- ショール
エルバイト
エルバイト(Elbaite)とは、トルマリンを構成する中心的な存在で、和名ではリシア電気石と呼びます。 ナトリウムとリチウムを多く含んでおり、無色透明なものから青、赤、緑、そして複数の色が混在することが特徴です。 エルバイトは、一般的にはグリーントルマリンと呼ばれるヴェルデライトなどを指すことが多いものの、市場で広く知られているトルマリンの多くはこのグループに属します。 エルバイトの変種としては以下のようなものがあります。- パライバトルマリン(透明感がある青色)
- インディコライト(濃い青色)
- ルベライト(赤色やピンク色)
- シベライトトルマリン(紫色)
- カナリートルマリン(透明感がある黄色)
- ヴェルデライト(濃い緑色)
- バイカラートルマリン(2色が混在するもの)
- パーティーカラートルマリン(2色以上が混在するもの)
- ウォーターメロントルマリン(2色が混在し、スイカの輪切りに見えるもの)
- アクロアイト(無色透明)
リディコータイト
リディコータイト(Liddicoatite)とは、カルシウムやリチウムを多く含んだもので、成長に伴って生成される層ごとに色が変化した結果、緑色や赤色、紫色などの混色になることが特徴です。 リディコータイトは、層をなすように成長していく累帯構造(るいたいこうぞう)で、その層は三角形をしています。(木の年輪のようなもの) この特徴から、輪切りにした際、複数の色が織りなす三角形が出現するものもあります。現在ではマダガスカルでしか産出しないとされており、希少性やユニークな模様を理由に宝石として取り扱われることもあるほどです。 ちなみに、トルマリンのなかで宝石として扱われるものは、先述した「エルバイト」と、この「リディコータイト」の2つだけです。ドラバイト
ドラバイト(Dravite)とは、マグネシウムや鉄を主成分にし、茶色や黄色、緑色をしたトルマリンで、和名では苦土電気石(くどでんきせき)と言います。 ドラバイトは、見る角度によって色相が変わる二色性が特徴です。宝石として使用されることはほとんどありませんが、ツァボライトとしても知られるグリーングロッシュラーガーネット同等の、透明感がある緑色をしたものは宝石の価値があると言われています。 そのため、ドラバイトを加熱処理することで色を薄め、グリーングロッシュラーガーネット(ツァボライト)に似せることもあります。 ちなみに、ドラバイトはマグネシウムと鉄が主な成分ですが、マグネシウムよりも鉄の含有量が多くなると「ショール(鉄電気石)」になります。(ショールについては後述)ウバイト
ウバイト(Uvite)とは、カルシウムを多く含む深緑色や黒色をしたトルマリンで、和名では灰電気石と言います。 ウバイトは先述したドラバイトと混ざるようにして産出することから、このふたつを簡単に見分けることは難しいかもしれません。 その多くは、緑がかった黒色をしているため、宝石に用いられることはありません。ショール
ショール(Schorl)とは、鉄を大量に含み、不透明な黒色をしているトルマリンのことで、和名では鉄電気石、通称ではブラックトルマリンと呼ばれます。 トルマリン全体の95%以上がショールに該当すると言われるほど、産出量が多いことが特徴です。 また、主成分が鉄であることや静電気を生じることから、肩こりや筋肉痛などを解消する健康グッズとして用いられることもあります。(効果を示唆する科学的根拠はない) ジュエリーに用いられることはありませんが、長さ1メートルを超える長細い結晶になる物もあり、鉱物愛好家からは好まれます。宝石としての価値が高いトルマリン
トルマリンの色や種類がどのような構成になっているかが理解できたと思います。トルマリンのなかでも、宝石として取り扱われる主なものについて詳しく解説します。 宝石として扱われるトルマリンは主に以下が挙げられます。- パライバトルマリン
- ルベライト
パライバトルマリン
パライバトルマリンは数あるトルマリンのなかで最も価値が高く、人気があるとされています。 パライバトルマリンは、1987年にブラジルのパライバ州で発見され、ネオンブルーと呼ばれる透き通るような青色をしていることが特徴です。 現在では、パライバ州の北部に隣接するリオグランデ・ド・ノルテ州、ナイジェリア西部のイバダン州、そしてモザンビークなどで産出したものもパライバトルマリンとして流通しています。 しかし、これらはパライバ州のものと比較して、銅とマンガンの含有量が少なく、緑がかっており、パライバ州のものが最も美しいという評価は変わりません。 このようなことから、パライバトルマリンの価値は「産地」も重要とされています。一方、国際的な鑑別機関であるLaboratory Manual Harmonisation Committee(LMHC)は「産地で区別せず」銅とマンガンを含む青色や緑色のトルマリンはすべてパライバトルマリンとすることを奨めています。 一般市場では、パライバトルマリンの産地が価値を左右する重要な要素のひとつであるものの、国際的な基準では産地を考慮しないという、矛盾のようなものがある訳です。 パライバトルマリンに限った話ではありませんが、鑑別機関による産地の「断定」は難しく、あくまでも元素や産地の特性、傾向に基づいて「推定」することしかできません。 このような事情から、パライバトルマリンの産地を巡る評価、すなわち価値の評価は難しいとされています。 参考:LMHC Information Sheet #6, Paraiba Tourmalineパライバトルマリンの商品はこちら
ルベライト
ルベライトはパライバトルマリンに次いで希少性が高く、人気があります。ルベライトはマンガンによって、赤色や紫色、そしてピンク色といった色相になります。 基本的には赤色のものだけをルベライトと呼びますが、赤色とは言えないようなピンク色は「ピンクトルマリン」、紫色の場合は「パープルトルマリン」といったように、流通名で区分されるのが通例です。 先述したパライバトルマリンは「産地」が価値を左右する要因であるのに対し、ルベライトは赤色かどうかといった「色」が価値を決定します。 このような評価はルビーとサファイアの関係に共通しています。コランダムという鉱物のなかで赤色のものだけがルビー、それ以外はサファイアと区分され、トルマリンのなかで明瞭な赤色のものだけがルベライトとなります。 ルベライトはルビーと同じようにトルマリンのなかで特別な存在とされていることもあり、ルビーと同じラテン語の「Rubellus」という言葉に由来しています。 一方、ルベライトは赤色に限られるということから、なかなか入手できるものではなく、その多くはピンクトルマリンとして流通しているのが実情です。 ルベライトを探している場合は、ピンクトルマリンのなかで少しでも赤味があるものを選ぶと良いかもしれません。まとめ
トルマリンの色や種類は非常に多く、複雑です。しかし、市場で流通しているものの多くは「エルバイト」の変種で、それらは色によって区分されています。 パライバトルマリンやピンクトルマリンなどを中心に、お気に入りのトルマリンを探してみてください。クロスフォーの商品ページはこちら