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ガーネットの色や種類を理解するおすすめの手順
ガーネットは数ある宝石のなかでも色や種類が多いため、しっかり理解するのは少し大変かもしれません。 そのため、以下の手順でポイントを押さえつつ理解することをおすすめします。- ガーネットを構成する基本軸を理解する
- ガーネットの色(種類)が増える理由を理解する
- ガーネットの種類を知る
- 一覧表で理解する
ガーネットの色や種類を理解するためのポイント
「ガーネットを構成する基本軸を理解する」うえで、最も基本となるポイントが「赤色系」か「緑色系」かということです。 ガーネットは鉱物学では赤色系か緑色系に大きく区分されており、さらに赤色系と緑色系のそれぞれで色合いによって枝分かれしています。 枝分かれした種類それぞれには流通名が付けられていることから、理解を難しくさせています。 例えば、透明に近いガーネットは「リューコガーネット」、透明感がある緑色の物は「ミントガーネット」と呼ばれますが、これらは正式名称ではなく、あくまでも流通名です。 正式名称でないということは、鉱物学上は認められていないことを意味します。しかし、市場では新たな流通名を用いて販売されていることから、ガーネットの種類は多くなっている訳です。 このような混乱しやすい状況であっても、正しく理解するために、まずは「赤色系」と「緑色系」の2つを基本軸にして考えるようにすれば、わかりやすくなります。ガーネットの色
ガーネットの色は「赤色系」と「緑色系」の2つに区分されています。赤色系、緑色系それぞれで軸となる3種類があり、これらを知ることで理解が深まるでしょう。 赤色系および緑色系、軸となる合計6種類について解説します。赤色系
赤色系ガーネットの商品はこちらから赤色系のガーネットは3種類で構成されており、この3種類をまとめて「パイラルスパイト(Pyralspite)」と呼びます。(パイラルスパイト系列とも言う) パイラルスパイトの語源は、これを構成する3種類の英語の頭文字です。
- Pyrope(パイロープ)
- Almandine(アルマンディン)
- Spessartine(スペサルティン)
- パイロープガーネット:赤色か無色
- アルマンディンガーネット:暗赤色から紫赤色
- スペサルティンガーネット:オレンジ色
パイロープガーネット
パイロープガーネットは、赤色や深い赤色をしていることが特徴で、数あるガーネットの中でも最も定番とされています。 宝石質の物はルビーと間違われることもあるほどです。一方、小粒なものがほとんどで、2カラットを超えるような大きな結晶はとても貴重とされています。アルマンディンガーネット
アルマンディンガーネットは、暗赤色で、ルチルの針状結晶が含まれていることによりアステリズム効果(スター効果)が見られるものがあるのが特徴です。 名称はトルコの古代都市アラバンダ(現アラフィサール)に由来しますが、スター効果が見えることから「スターガーネット」と呼ばれるようになり、本来の名称よりも流通名の方が定着しています。スペサルティンガーネット
スペサルティンガーネットはオレンジ色をしていることが特徴です。スペサルティンガーネットのなかで、黄色がかったオレンジ色のものは「マンダリンガーネット」、赤みがかったオレンジ色のものを「タンジェリンガーネット」と呼び、区別することもあります。 このように、赤色系のガーネットは「パイロープガーネット」「アルマンディンガーネット」「スペサルティンガーネット」の3種類を基本軸にして構成されていることを覚えておいてください。緑色系
緑色系ガーネットの商品はこちらから緑色系のガーネットも3種類で構成されており、この3種類はまとめて「ウグランダイト(Ugrandite)」と言います。(ウグランダイト系列とも言う) ウグランダイトは、ウグランダイトを構成する以下3つの英語表記に由来します。
- Uvarovite:ウバロバイト
- Grossular:グロッシュラー
- Andradite:アンドラダイト
- ウバロバイトガーネット:緑色から深緑色
- グロッシュラーガーネット:緑色、白色、黄色、金色、オレンジ色
- アンドラダイトガーネット:褐緑色から深緑色(僅かな黒みを伴う)
ウバロバイトガーネット
ウバロバイトガーネットは、エメラルドのような緑色をしており、その大半は加工されることなく、原石のまま流通していることが特徴です。 他のガーネットと比較して、宝石用に加工できるほど大きな結晶にならず、原石のデザインをそのまま利用してジュエリーにすることもあります。グロッシュラーガーネット
グロッシュラーガーネットは、定番の緑色(グリーングロッシュラーガーネットまたはツァボライト)以外に、薄い緑色のものを「ミントグリーンガーネットまたはメレラニミントガーネット」、そしてオレンジ色をした「ヘソナイトガーネット」と呼び、グループ内での種類が多いことが特徴です。 ガーネットの基本軸のなかで最も理解が難しいとされていることから、消費者に分かりやすくするために「グリーンガーネット」とひとくくりにすることが定着しています。アンドラダイトガーネット
アンドラダイトガーネットとは、褐緑色から黒色まで幅広い色相が特徴です。明るい緑色のものは「デマントイドガーネット」、黄色っぽいものは「トパゾライトガーネット」、黒色のものを「メラナイトガーネット」と呼びます。 このように、緑色系のガーネットは「ウバロバイトガーネット」「グロッシュラーガーネット」「アンドラダイトガーネット」の3つを基本軸にして構成されていることを覚えておきましょう。端成分と固溶体
「ガーネットの色(種類)が増える理由を理解する」うえで、次に大切なポイントとなるのが「端成分(たんせいぶん)」と「固溶体(こようたい)」です。 端成分とは、単一成分で結晶化している状態のものを指します。具体的には、先述した赤色系の「パイラルスパイト(パイロープ、アルマンディン、スペサルティン)」と、緑色系の「ウグランダイト(ウバロバイト、グロッシュラー、アンドラダイト)」の全6種類のことです。 固溶体とは、マグネシウムや鉄、マンガンといった成分が、適度な熱や圧力下で混ざり合って結晶化した状態のものを指しています。 この固溶体こそが、ガーネットの色が豊富な要因です。例えば、赤色系の端成分に該当するパイロープとアルマンディンの固溶体は、紫赤色が特徴の「ロードライトガーネット」と呼ばれるものになります。 他にも、緑色系の端成分であるグロッシュラーとアンドラダイトの固溶体は、黄色がかった緑色をした「マリガーネット」と呼ばれるものになります。 つまり、端成分同士が混ざり合って固溶体になった結果として色(種類)が増えるという仕組みです。 ちなみに、ウバロバイトとグロッシュラー、ウバロバイトとアンドラダイトの組み合わせにおいては、イオンの大きさが異なるため混ざり合わず(固溶体にならない)、クロムやバナジウムの含有量によって色相が変わる仕組みです。 これらの点を理解することで「なぜガーネットには色が多いのか」や「ガーネットの色が増える仕組み」が分かるようになります。パイラルスパイト(赤色系)の変種
赤色系のガーネットの変種には、主に以下のような種類があります。ここで言う変種とは「固溶体」のことを指しています。- マラヤガーネット
- ロードライトガーネット
- モザンビークガーネット
- ウンバライトガーネット
マラヤガーネット
マラヤガーネット(マライアガーネット)は、スペサルティンとアルマンディンの固溶体です。1960年に発見された新しい変種で、スワヒリ語で仲間はずれを意味するマラヤに由来します。 マラヤガーネットは薄い赤色やピンク色といったロゼカラーであることが特徴です。マラヤガーネットの中で、黄色とオレンジ色が混ざった色相のものは「シャンパンガーネット」と呼ぶことがあります。 また、マダガスカルのベキリーで採れる変色効果(青やグレー)を持つものは「ベキリーブルーガーネット」と呼ばれ、マラヤガーネットの変種として扱われることもあります。(カラーチェンジガーネットと表現するケースもある)ロードライトガーネット
ロードライトガーネットは、パイロープとアルマンディンの固溶体です。赤ワインのような紫赤色をしていることが特徴で、ガーネットのなかでも採掘量および流通量が多いことで知られています。モザンビークガーネット
モザンビークガーネットは、パイロープとアルマンディンの固溶体です。とりわけ濃い赤色をしていることが特徴で、アフリカのモザンビークで採掘されることに由来しています。ウンバライトガーネット
ウンバライトガーネットは、パイロープとアルマンディンにスペサルティンが僅かに混ざった固溶体です。 1978年にタンザニアのウンバ渓谷で発見されて以降、珍しい組成ということもあり、希少なガーネットとして知られるようになりました。ウグランダイト(緑色系)の変種
緑色系のガーネットの変種は以下の通りです。- マリガーネット
- レインボーガーネット
- デマントイドガーネット
マリガーネット
マリガーネットとは、グロッシュラーとアンドラダイトの固溶体です。緑色と黄色が混ざったレモンのような色をしていることが特徴で、1994年にマリ共和国で発見されたことに由来しています。 緑色系(ウグランダイト)を構成する3種類のうち、固溶体になるのはグロッシュラーとアンドラダイトの組み合わせだけです。レインボーガーネット
レインボーガーネットとは、グロッシュラーとアンドラダイトの固溶体で、表面にイリデッセンスと呼ばれる虹色の輝きがあることが特徴です。 2004年に奈良県天川村で採掘されるまではメキシコ産が知られていましたが、いずれもこれ以上採掘されることはないと言われており、幻のガーネットになっています。デマントイドガーネット
デマントイドガーネットとは、アンドラダイトの派生形で、ガーネットのなかで最も価値が高いとされているものです。 マリガーネットとは異なり、固溶体ではなく、多量のクロムを含むことで発色することが特徴です。 また、繊維状の結晶が放射状に広がる「ホーステールインクルージョン」が見られるものもあり、数あるガーネットのなかで宝石としての価値が一番高いと言われています。ガーネットグループ一覧表
パイラルスパイト(赤色系)の一覧表
端成分 | パイロープとアルマンディンの固溶体 | スペサルティンとアルマンディンの固溶体 | パイロープとアルマンディンの固溶体+スペサルティン | |
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パイラルスパイト(赤色系) |
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ウグランダイト(緑色系)の一覧表
端成分 | グロッシュラーとアンドラダイトの固溶体 | アンドラダイトガーネットの派生 | グロッシュラーガーネットの派生 | |
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ウグランダイト(緑色系) |
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まとめ
ガーネットは赤色系のパイラルスパイトと緑色系のウグランダイトに大きく区分され、それぞれで固溶体または成分量によって色が変化し、結果として種類が多くなっています。 難しく考える必要はありませんが、ジュエリー選びの際に失敗しないためにも、これらの知識を知っておくことをおすすめします。ガーネットの商品はこちらからご覧いただけます。